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この世の果て [ひとりごと]

この世の果てを 見てきました

私は先ず
無機質な大きい扉が自動で開くのを待って
ガランとした広い空間に通されました

車を静かにバックさせ
指示された扉の前につけます

扉ひとつ隔てたところに存在していた
新たな空間は・・・
思わず息を呑んでしまうほど
今まで見たことも無いような広大な空間

何かの映画のセットのような
まさしく この世の果て と呼ぶのにふさわしい・・・

そこは 「クリーンセンター」という名で呼ばれる
可燃性ゴミの焼却場です

生ゴミはもちろんですが
人々が必要として買い集めたもの
それらがその役目を終えた時

もしくはそれを必要とする主が
居なくなった時
一斉に集められて「処分」されていきます

覗き込むと 足がすくんでしまうような
とてつもなく大きな穴・・・
間違って足を滑らせたら
一体どうなってしまうのだろう?

上部には 家一軒持ち上げてしまいそうな
リアルで大きなクレーンが
待ち構えています

この場所無しでは
私達の生活は成り立ちません

なのに私達は、こんな場所が存在し
そこでどんな作業が行われているのかなんて
知らないままでも、生きているんです・・・




私達の生活を支えてくれてた品々が
その 「奈落の底」 へと
落ちていきます

「あら、テニスばしよらしたと?
もう、さっさんと(されないの)ですか?」
私のウッドのラケットを掴んだ
係りの方が 話しかけられました

「そうですね (;^_^A 」
それは私が中学時代に一生懸命やっていた
ソフトテニスのラケット

思い出はあるけれど・・・
今後ソフトテニスをやる事は
もうないでしょう

「あら~日本あちこち行ったばいね (^^)」
沢山束ねられたガイドブックの山
旅行や出張の度に、買ってたんだよね・・・
私って、あんなところにも行ったっけ?

思い出を確認するように
係りの方が 話しかけられます

最後のお別れをする前に
その物達に心を向けられたのは
感謝を示せて、とても良かったのだけど・・・

捨てたくないものが落ちていくのを
見ているときは
ちょっぴり辛かったです


「可燃物」の方はまだ良かったのですが
「不燃物」の方は、とても痛々しかった・・・

そこは又違う場所にある クリーンセンター

リサイクル法にかからない家電製品
陶器その他、燃えないもの達の
最終到達地です

そこには先程見てきた広大な空間は無く
錆びた鉄板の床の奥に
ポカンとした四角い穴が開いている

そんな感じのところでした

私達がここに運び込んだのは
自分達がもう要らないと
判断した物ばかりのはず

だから、どう扱われようと
全く関係ない話のはずなのですが・・・

車から降ろされる品々は
そこの鉄の床に
ガシャーン! ドカーン! と
打ちつけられながら、穴に転がり落ちていくのです



     私は
         「製品を処理する機械の負担を軽くするため
              少しでも壊してから、穴に入れているのかな」
                                         って思った

     主人は
          「持ってきた人の諦めがつくように
               降ろした途端、壊しているのでは」
                                   って思ったそうです



頭ではよく解っています
今から打ち崩してしまう品物を
ご丁寧に扱う必要なんてないって事

だけど・・・

それを目の当たりにするのは
人間として、とても辛かったです

子供達二人を育ててくれたベビーカー
二人ともが毎日のように乗り回していた三輪車
床に叩きつけられ
見る影もありません

お母さんの部屋を
冬の間中暖めてくれたストーブ
大事にレコードを聴いたプレーヤー

やめて・・・やめて・・・

どうか私の目の前では・・・

今までの想い出までもが
叩き壊されていくような・・・
そんな気がしました


私達の不要物を処理してくださる
係りの方にはお礼を言って
車に乗り込みましたが

主人が先ほどの件に触れたとき
どうにもたまらず
涙をこぼしてしまいました

自分の持ち物だけだったなら
そこまで辛い気持ちには
ならないのだろうけど・・・

私は未だに
受け入れることの出来ない現実を
持て余したままで・・・


私達の身の回りにあるもの
必要だから手に入れたものばかりです

それがあるだけで嬉しい気持ちになったり
その時の暮らしに大切だから、って
一つずつ買い集めていったものばかり

だけどこの世は無常な訳で

必要なくなったら捨てる!
これは整理整頓の鉄則ですが・・・

ものには感情は無い!
と言ってしまえばそれまでですが・・・

この世の果てを見てしまった私は
今後の物品の管理
その他全てのものの見方が

すっかりと変わってしまったような
気がするのです


自分の最期が来る日まで
共に暮らしていく物たちは
精一杯愛しんでいきたいと思いました


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JOKER

もったいないという意識
子どもたちにも是非感じさせたいですよね~
そう思います。

ものを集めたり,買ったりするのも大事なら,ゴミを出さない
ゴミを生かすためのくふうも大事ですね~~
そう思いました!
by JOKER (2007-09-20 19:52) 

MILK

JOKERさん、おはようございます(o^-^o)
あっという間に又3連休を迎えますね!
どう過ごされる予定ですか?

人々に望まれて購入された品々・・・
それが迎える最後の様子を知ってしまったら
何だかとても空しくて、自分の手元にあるものは大切に使いたい、
そしてそのためにも不必要なものは、
なるべく増やさないようにしたいと痛感しました。

ゴミの日に袋詰めして捨ててるだけでは解らないあの最後の状況、
そしてそれらを区分されている方々のご苦労を感じるためにも
機会がありましたら、皆さんにも処理場に出向いてみて
いただきたいなぁ~って思いました(*’―’*)
by MILK (2007-09-21 07:42) 

JOKER

またまた書き込みます~!
3連休,初日はごろごろ(洗車?)して,
2日間は佐賀に行きますよ~
MILKさんは実家???
3連休はいかがお過ごしの予定ですか??

そうそう,来月の初め,うちは4年生が学級のPTAの活動でクリーンセンターを親子で見学に行きます。とてもいいことですよね。

では^^次回更新楽しみにしています~
by JOKER (2007-09-21 17:09) 

roko-papa

その現場にいたおじさんが、
もっと、捨てる人の気持ちが分かる人だったら良かったのにね。(-公-;)

傷ついた自分から立ち直るために必要なこと、悲しみや淋しさという
荷物から開放されるために必要なものは・・・・?

やはり、人の優しさなのでしょうね。
「人は人により傷つけられ、人により癒されていく」っていう言葉が
あるけど、まさにその通りです。

イヤなことはじゃんじゃん忘れましょう!
そうでないと、人は悲しい思いの中に埋もれてしまいます。
前に進めなくなってしまいます。忘れましょう。忘れることも大事なことです!

それと、もう一つ
「捨て去ってしまうのではなく、神様にお返しをする」のですから悲しむ必要
はありません。思い出の品々はみんな神様の所に届いていますよ。(^_-)-☆
by roko-papa (2007-09-21 18:49) 

MILK

JOKERさん、おはようございます♪=^-^=

>2日間は佐賀に行きますよ~
佐賀・・・温泉ですかね?(^^) 職場内旅行のメッカですね☆
以前「佐里温泉」のピラミッドみたいなお風呂に入り、感動しました~♪
コスモスが綺麗で・・・未だ早いかな?

>MILKさんは実家???
私の実家ね~、もうなくなっちゃったんですよ(_ _。)
私は置いてきぼりのまま、周りは物凄い勢いで変わっていくような
気がしています・・・3連休は引き続き片付けものかな?

>そうそう,来月の初め,うちは4年生が学級のPTAの活動で
>クリーンセンターを親子で見学に行きます。とてもいいことですよね。
お~学級委員さんの提案ですかね?凄いですね!(@o@)
自分の物は捨てないにしても、見学したら皆、絶対「何か」を
感じて帰られると思います(*’―’*)
by MILK (2007-09-22 09:33) 

MILK

roko-papaさん、おはようございます♪=^-^=

>傷ついた自分から立ち直るために必要なこと、悲しみや淋しさという
>荷物から開放されるために必要なものは・・・・?
>やはり、人の優しさなのでしょうね。
確かにそうでした・・・私は人からダメージを受けると
もう直ぐに人を警戒してしまう人間です・・・装備を固くして・・・
でもその傷を癒してくれるのは、他ならぬ「人の優しさ」ですね(*’―’*)
今の私、roko-papaさんの優しさに、とっても癒されてますヨ(;。;)

>イヤなことはじゃんじゃん忘れましょう!
>そうでないと、人は悲しい思いの中に埋もれてしまいます。
>前に進めなくなってしまいます。忘れましょう。忘れることも大事なことです!
いつまでも前進できないでいる私が、まさにそれなのですね。
「忘れましょう!」って言っていただけると・・・
心がとても楽になります。「忘れてもいいんだよ」って言ってもらえると・・・

>「捨て去ってしまうのではなく、神様にお返しをする」のですから
>悲しむ必要はありません。
>思い出の品々はみんな神様の所に届いていますよ。(^_-)-☆
この言葉は、本当に心にグッと沁み入りました(;へ:)
roko-papaさん、絶対カウンセラーやるべきです!
私一番のお得意さんになりますよ♪
(心療内科も自分に合わないと、さらに状態悪化するそうですね)
私がお届けした品々、ちゃんと天国に届いていればいいな・・・
(roko-papaさんって、ひよっとしたら全部お見通しなの・・・かナ?)
by MILK (2007-09-22 09:58) 

sak

普段見えない現実を目にすると
いろいろ考えてしまいますよね。
世の中便利になりすぎて
人が贅沢になりすぎて...。
考えなきゃと思っていてもいつのまにか忘れてしまって...。
もっともっと真剣に考えなきゃですね。
by sak (2007-09-22 12:31) 

MILK

sakさん、こんばんは☆(^^)/

生き物、生き物じゃないに関わらず
ものの最後を見るのって
何でこんなに悲しいのでしょうね・・・?
その姿を見ずして、単に「欲しいから」「必要なくなったから」という
自分の気持ち一つで割り切っていくのは如何なものかと・・・

普段見えないものを見る習慣を身につけるって
とても大切な事なのかもしれませんね(^^)
by MILK (2007-09-22 21:34) 

かふぇおれ

こんばんは〜(^^)
ちょっと留守しておりましたので
出遅れています〜(汗)
う〜ん、物が捨てられない相棒の代わりに
自分の物をなるべく捨てて物を減らそうとしている
のですが、こういうお話を伺うと
なんだか考えてしまいますね(-_-;;
本当はなるべく捨てなくていいものを揃える
ことができれば一番いいのかも知れませんが
なかなか...((^^;;
by かふぇおれ (2007-09-24 03:06) 

EXOTIC-KIM

MILKさん、おはようございます♪

最近、PCにゆっくり向き合う時間がとれてませんでした~。

これまた貴重な経験ですね。お気持ちすごくわかります。特に自分が使ってたものよりも人が関わったものの方が捨てづらいですよね。
ちょっと縁起悪い話ですが、いつか母が亡くなったら(当分、その心配はなさそうですが^^)、実家の数々の品を処分できるのか?と考えます。小さい頃から使ってた物、家具など思い出がいっぱい詰まったものばかりです。たぶんそのときは倉庫を作って保管するかな・・・と思ったりします。

そして私がなかなか捨てられないのは手書きの手紙、ぬいぐるみです。手紙は気持ちもこもってるからでしょうね。ぬいぐるみはたまにもらうのですが「作り物」とわかっちゃいるけどなんか「命」があるような気がしてなかなか捨てられません・・・(^^i)

今回MILKさんは思い出の品との別れをした訳ですが、それも大事ですよね。思い出に「浸る」のはいいけど「溺れる」ことないようにする潔さも必要です。物は消えてもその思い出はずっと心に残る訳ですから♪・・・と言いつつ自分にはまだその「潔さ」はアリマセン(*△*)
by EXOTIC-KIM (2007-09-24 08:51) 

MILK

かふぇおれさん、こんばんは☆(^^)/

>う〜ん、物が捨てられない相棒の代わりに自分の物をなるべく捨てて
>物を減らそうとしているのですが
そうなんですよね・・・自分ちのスペースはもう決まっているので
片付けるには先ず捨てやすい「自分の物」から・・・って事になりますネ

ものを失い悲しむ気持ちと、ものを得て大切に思う気持ちは
表裏一体の事実だと思いますので
私も今後は、なるべく捨てなくていいものを
揃えていきたいと思ってるのですが、なかなか...((^^;;
by MILK (2007-09-24 20:26) 

MILK

kimさん、こんばんは☆(^^)/

>いつか母が亡くなったら(当分、その心配はなさそうですが^^)、
>実家の数々の品を処分できるのか?と考えます。
この件に関しては、私は何とコメントしたらいいのか・・・
だたkimさんは、ご実家を離れての生活ですので
可能な限りお母さまとの時間は設けていただきたい、と願うばかりです。
「孝行したい時に親は無し」・・・いつの時点でもこの気持ちは
残るものなのでしょうが・・・

>そして私がなかなか捨てられないのは手書きの手紙、ぬいぐるみです。
これもよく解ります。私も同じ・・・手紙は小学校時代のものから持ってます。
ぬいぐるみも・・・目が合うと、もうアウトです(^-^;)

>思い出に「浸る」のはいいけど「溺れる」ことないようにする潔さも必要です。
>物は消えてもその思い出はずっと心に残る訳ですから♪
>・・・と言いつつ自分にはまだその「潔さ」はアリマセン(*△*)
私の場合、その「潔さ」を身につけないままでの「処分」となりました。
でもまだまだ自宅の中には処分出来ないでいるものが沢山・・・
ちょっと途方にくれかけています・・・
by MILK (2007-09-24 20:41) 

さち

こんばんは、MILKさん。

読み終えて、なんだかほっとしたのと同時にとても嬉しくなっちゃいました。というのが、この間日本人の友達とも話してたんですが、「物を愛しむ」って日本人特有の性質なのではないでしょうか。神道でも、「神」はいろんなところにおいでで、もちろん物一つの中にもいらっしゃる。日本人は周りにあるいろんなものに愛情を注ぐことを知っている(人が多い)。そこには、「物」以上に何かがあるように思えるのです。MILKさんのように、お母様を温めてくれたストーブへの感謝の気持ちとか。

そういう擬人的に物を扱うことをする日本人が、物を物以上に考えない西洋人に思い入れのあるものを簡単に壊されて、謝罪の言葉もなかったりするのが西洋に住む日本人の私達の素朴な怒りにつながります。

↑ちょっと横にずれちゃいましたが。。

片付け上手な人は、悪戯に物を増やしませんよね。ただの捨て上手とはまた違って、物を大事にしながらもすっきりした簡素な暮らしをされている。そういうスマートな人になりたいといつも願っているのですが、、、なかなか難しいです(笑)。
by さち (2007-09-25 04:22) 

MILK

さちさん、おはようございます(^^)/
長崎はまだまだ残暑厳しいですよ~(;^_^A
9月ももう終わるというのに・・・

>「物を愛しむ」って日本人特有の性質なのではないでしょうか
言われてみてハッとしました(@o@)
海外にお住まいのさちさんならではのコメントだと思います。
自分にとって、ごく自然に湧いてくるこの感情を
「物は物だよ」とサックリ切られてしまったら、きっと私の心は
あのクリーンセンターで見てきた「奈落の底」へと
真っ逆さまです~(^▽^;)

ここにコメントを寄せてくださっている皆さんにも
なんの心の説明もしなくたって、自然に解っていただけてますしネ☆
これは、さちさんが抱いてられた「戸惑い」と
ぴったりリンクしましたね~(^▽^;)
どっちが○かなんて、水掛け論でしょうから
「私はこうです」という表現しか出来ませんネ(^^)

>ただの捨て上手とはまた違って、
>物を大事にしながらもすっきりした簡素な暮らしをされている。
これは本当に理想の暮らしですよね・・・
多分、普通の人以上に物に思い入れを持ってしまう私
自分の必要以上に、物が増えすぎてしまった今の状態から脱却するには・・・
一体どうすればいいのやら(- -;)
by MILK (2007-09-25 09:42) 

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